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厳しくても、アバウトでも尊敬されるタイの学校の先生たち

近年日本では学級崩壊、モンスターペアレント、先生の不祥事など学校に関する問題をよく耳にします。先生という存在が以前ほど強くなく、その威厳も損なわれつつあるように感じます。

タイでは先生は絶対的な存在で、先生の言うことに逆らう生徒を私はまだ見たことがありません。実際に言うことを聞くかどうかは別として、生徒たちは先生の前ではきちんとした言葉遣いで、反抗的な話し方はしません。

多くの学校ではまだ普通に体罰が行われていて、それに文句を言う生徒も親もいません。40、50年くらい前の日本の学校とよく似ています。

今回は、私が4年間タイの公立小中学校で働いているときに垣間見た先生たちの日常を紹介します。

目次

タイの先生は絶対的な存在

お祈り

冒頭にも述べたように、タイの学校において先生の存在は絶対的です。その証拠として、タイには年に2回も先生を敬う日があります。

先生の日

1つ目は1月16日の「ワン・クルー(ワン=日、クルー=先生)」という「先生の日」です。この日は学校がお休みで、記念行事が開催されるところもあります。

先生に感謝や尊敬を表す日

2つ目は6月16日の「ワーイ・クルー(ワーイ=合掌する、クルー=先生)」という「先生に感謝や尊敬を表す日」です。この日はお休みではなく、生徒たちはそれぞれ花、ろうそく、お線香などで作った小さな花束を持って学校へ行きます。

学校では「ワーイ・クルー」のセレモニーが開かれ、生徒たちはお世話になっている先生たちの前で正座をしてワーイ(合掌)をし花束を渡します。セレモニーが終わって、個別に担任の先生に花束や果物を送る生徒たちもいます。

タイの生徒の髪をバッサリ

学校

タイの公立の学校には規則がたくさんあります。特に髪形には厳しいようです。男の子はみんな1センチくらいの長さに揃えます。

私が働いていた学校は毎週月曜日に先生がバリカンを持って校門に立っていました。髪が長かった男子生徒は集められて、縞模様の虎刈りにされたり、頭の真ん中だけ刈られたりします。その1日は恥ずかしい髪形で過ごさなくてはなりません。

女の子は、髪を染めたりパーマをかけたりするのはもってのほかで、肩より長い髪の子は全員黒いゴムで1本結びにしなければなりません。

ある日女子生徒の1人が素敵にシャギーされた髪をなびかせ学校にやって来ました。美容院に行ったばかりでみんなに見せたかったのでしょう。すぐさま先生に連れ出され「ちびまるこちゃん」のようなおかっぱにされていました。

生徒の髪の毛を切るなんて日本じゃありえないことです。でも、親からの苦情などはないそうです。タイの先生は絶対的ですね。

タイの学校の多すぎる会議とセミナー

子供

タイの学校は先生の会議やセミナーがとても多いです。自分の働いている学校で行われることもありますし、他校に出向くときもあります。

それも生徒たちの授業中に行われるのです。だからその日の授業は先生がいなくて自習になります。ひどいときは1日中先生がいなくて、朝からずっと自習の日もあります

どうして授業が終わった後にやらないのか不思議でたまりません。ぜひ会議で話し合ってもらいたいものです。

タイの先生はいつも何かを食べている

パパイヤサラダ

タイ人は食べることが大好きです。大食いというよりは、ちょこちょこいろんなものを好きな時に食べています

タイの学校の食堂はデパートのフードコートと同じでご飯もの、麺類、サンドイッチ、お菓子、アイスクリーム、クレープなどなんでもあります。下校時刻には学校の外に屋台がずらりと並びます。

先生も生徒も時間が空けばいつも何かを食べています。職員室の中にはいつも食べるものがおいてあって、授業の合間につまんでいます。

みんなソムタム(青パパイヤのサラダ)が大好きで、私の職場では必ず机の上に大きな青パパイヤがおいてありました

手の空いた先生が専用ピーラーでパパイヤを千切りにして準備します。時々先生と生徒も一緒に食べ物をつまんだりしているところがちょっと微笑ましいです。

アバウトすぎるスケジュール

集合写真

学校だけに限らないのですが、スケジュールは本当にアバウトです。年間スケジュールや月間スケジュールも一応あるみたいですが、ほとんど意味がありません。中間テストや期末テストもかなり日が近くならないといつ行われるのか知らされません。

急に授業がなくなることもよくありますし、明日これ持ってきて、あれ持ってきてと帰り際に言われることもしょっちゅうです。

新学期が始まる日もみんな言うことが違い、「たぶんこの日だろう」と目星をつけて行ったら校門が閉まっていたなんていうことも時々あります。

まとめ

何度も繰り返すようですが、タイの先生の存在は絶対的です。私は最初先生が長い定規を持って生徒を叩くところや、髪の毛を刈っている姿を見て嫌悪感を覚えました。私は基本的に体罰反対です。

でも、生徒たちは「見つかっちゃった!」くらいにしか思っていないようで、あっけらかんとしています。恨みがましく思っているようには見えません。

私が定規で叩かれた生徒をびっくりして見ていると、その生徒が「大丈夫だよ。いつものことだから。」とけろっとして言います。先生たちとも何もなかったかのように普通に話しています。

タイの先生たちは絶対的ではあるけれど、近づき難い存在ではないようです。厳しいけれど、愛情もその分生徒たちにかけているため、生徒たちも慕っているのでしょう。先生たちは生徒たちにとって2番目の「親」なのかもしれません。

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この記事を書いた人

タイ旅行でさまざまな都市をバックパックひとつで旅をする。プーケットにてスキューバダイビングのインストラクター資格を取得。バンコク在住歴は10年。

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